トップページドクターに訊くQ&A外科的矯正

JBO認定歯科矯正専門医がお答えします

Q:外科的矯正(あごの手術を伴う矯正)

保険でできる矯正があると聞きましたが、どんなものですか?

矯正治療の体験記などを読んでいると、矯正治療を保険で受けたという方がいました。私が相談に行った歯科医院では保険ではできないと言われましたが、保険でできる矯正があるのですか?

A:あご切り手術が必要となる矯正(外科的矯正)には、保険が適用されます。

外科的矯正とは、骨格的な偏位(ズレ)が大きく、一般の矯正治療だけでは十分な咬み合わせを確立することが難しい場合に、顎離断手術などの外科的手術を併用する矯正治療をおこなうことで、咬み合わせのみならず、顔貌の改善も可能とする治療方法です。

外科的矯正の治療の流れは、おおむね下記のようになります。
外科的矯正の流れ
それぞれの段階について、例を挙げながら詳しく説明します。

なお、外科的矯正を保険で受けられるのは、都道府県から認可を受けている自立支援施設・顎口腔機能診断施設においてのみです。 認可を受けていない医療機関で外科的矯正を受けられた場合は保険が適用されないこともありますので、事前に確認してください。

検査・診断

一般的な矯正治療で行う検査(歯の模型、レントゲン写真など)の他、顎機能や歯周筋の検査を行い、診断結果をお伝えします。

矯正歯科医院受診(初診相談)・・・1時間前後

初診時に口元やお顔を写真に撮って、患者さんに見ていただきながら矯正治療について詳細を説明します。
外科的矯正治療の可能性がある患者さんについては、外科手術について矯正歯科医の立場から追加説明を行います。

矯正治療前検査・・・1時間前後

口腔内模型、レントゲン写真など一般的な矯正治療前資料をとります。外科的矯正治療の可能性がある患者さんについては、顎機能および筋電図検査を追加採取します。
検査後1カ月以内くらいで予約を取っていただき、診断結果をお伝えします。この頃、口腔外科もしくは形成外科をご紹介します。矯正検査資料をもとに、矯正歯科医と口腔外科医とで話し合い、治療方針の確認を行います。

矯正治療開始前の検査

診断結果報告・・・30分から1時間前後

検査資料をもとに立案した治療計画、および口腔外科医との外科的矯正治療内容を含めた診断結果を説明します。
矯正治療だけをおこなった場合と、外科手術を併用した場合の治療結果の違いをシミュレーションして、比較しながら詳しく説明します。

外科手術のシミュレーション

術前矯正

あご切りをした後に咬み合わせが安定するように、術前矯正であらかじめ歯をある程度並べておきます。外科手術を前提としていますので、咬み合わせ自体は一時的に悪くなります。

術前矯正・・・1年~2年間

症例に応じて、マルチブラケット装置をつけて術前矯正を行います。

術前矯正開始時
術前矯正終了時

歯がきれいに並びました。外科手術前に、口腔外科医と咬合の最終確認をおこない、術前矯正治療終了時にサージカルスプリント(手術固定用装置)を製作します。また、外科手術前矯正検査を行います。

外科手術

外科手術は口腔外科や大学病院など、専門の医療機関で行います。矯正を担当している歯科医院と別の医療機関での手術となる場合がありますので、担当の歯科医師に詳しく説明を受けてください。

入院・手術・・・1週間~3週間

手術前後のスケジュールは、患者さんの症状や治療を担当する矯正歯科医院によって違いがありますので、ここでは歯ならび矯正歯科医院(院長・和島 武毅)での治療スケジュールを一例としてご紹介します。実際のスケジュールにつきましては、治療を担当する矯正歯科医院の指示に従ってください。

入院当日~手術前

入院生活のオリエンテーション、麻酔科医から既往の問診・説明、口腔外科担当医の診察があります。

手術後

翌朝まで酸素マスクをつけ、抗生剤、ステロイド、抗ヒスタミン薬などを点滴します。

手術1~2日目

酸素マスクを外し、食事はミキサー食をとります。
レントゲン撮影をします。TMJ(顎関節)、パノラマ(歯列全体)、セファロ(頭部)などを撮ります。

手術3~4日目

スプリント(手術固定用装置)をスーパーボンドなどで固定しゴム掛けを開始します。
開口訓練を始めます。

手術5~7日目

開口量を増やしてゆき、リハビリ訓練を継続します。
食事は注射器による吸入からスプーンに移行し、点滴は終了します。
スプリントの適合状態、開口量(一横指半)、会話状態を確認し、担当医の許可にて退院となります。

退院後

矯正装置や開口量状態を確認し、外科手術後矯正検査をおこない、術後矯正治療に移行します。

術後矯正

手術後、術後矯正治療をおこない、咬みあわせの細かな調整をおこないます。

術後矯正開始時
術後矯正終了時

動的治療中に左下中切歯に骨性癒着が認められ、癒着位置で動的治療を終え将来的に形態修正によって対応することとした。

保定

一般の矯正治療と同じように、動かした歯が後戻りをしないように、歯や歯周組織が安定するまで保定装置を装着していただきます。

保定・・・2年間

保定装置矯正装置を外した後、歯並びを安定させるために保定を行います。動的治療終了時検査をおこない、症例に応じた保定装置を使用します。

保定期間中(保定開始6カ月以降)に、プレート(切った骨を繋げるために使用した器具)の除去手術をおこないます。医療機関によって、吸収性のプレートを使用した場合にはプレート除去の必要はありません。

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【ドクターに訊くQ&A】矯正治療についてよくある質問を専門医がお答えします。